妊娠中の異常

1)妊娠高血圧症候群

妊娠中に高血圧(収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上)を発症した場合を妊娠高血圧症候群といい、 蛋白尿を認める場合もあります。妊娠中だけでなく、分娩時や産後に高血圧を発症する場合もあります。

〈妊娠高血圧症候群の影響〉
◆ 母体
子癇発作、常位胎盤早期剥離(赤ちゃんが生まれる前に胎盤が剥がれる)母子ともに生命に危険が及ぶ
◆ 胎児
胎盤の血流が悪くなるため、未熟児、胎児仮死、死産のリスクが高くなる
※血圧の上昇に伴い、「頭が痛い」「目がチカチカする」といった症状がみられる合は、病院へ連絡してください

≪妊娠高血圧症候群を予防のために≫
① 昼間に横になる時間を作る
② 睡眠時間はしっかりとる
③ 無理な運動や長時間の外出、過労は避ける
④ 足に浮腫が出てきたときは、横になる時間を増やし、足を高くして寝る
⑤ 体重のコントロールをきちんと行う
⑥ 塩分を控える
⑦ 良質な蛋白質を充分に摂る(乳製品、肉類、魚介類、豆製品など)

2)切迫流産・早産

◆ 切迫流産
妊娠初期から妊娠21週6日の間に出血や下腹痛などの流産を引き起こす症状がみられる状態
◆ 切迫早産
妊娠22週0日から36週6日の間に出血や下腹痛、お腹の張りなど早産を引き起こす症状がみられる状態
≪上記のような症状があるときは…≫
 ★ まず横になり安静にして休みましょう。
 ★ 30分以上横になっても症状が変わらないときは病院に連絡をしてください。

≪切迫流・早産を予防するために≫
① 腹部を圧迫する動作や長時間の同一姿勢は避ける
② 重たい荷物を持たない
③ 冷たい飲み物の飲みすぎはNG
④ 体を冷やさないようにする
⑤ 無理な運動と過労は避ける
⑥ 夫婦生活の際はコンドームを使用する

3)妊娠糖尿病

妊娠糖尿病とは、妊娠中にはじめて診断された血糖の異常です。 お母さんが高血糖であると、おなかの中の赤ちゃんも高血糖になり、さまざまな合併症が起こり得ます。

〈妊娠糖尿病の影響〉
◆ 母体
流早産、羊水過多症、妊娠高血圧症候群
(将来、糖尿病となるリスクが高くなります)
◆ 胎児
巨大児、胎児仮死、発育遅延など
(生まれてからも低血糖や黄疸、呼吸障害になりやすいと言われています)

4)その他の妊娠中の危険症状

 ★ 破水(生暖かいお湯のようなものが流れ出る)
 ★ 胎動が極端に減った

上記のような症状があるときは、すぐに病院に連絡してください。
※緊急時のため、ご家族の連絡先、タクシー会社の電話番号は控えておきましょう