避妊

予期せぬ妊娠を防ぐための避妊指導を行います。年齢、ライフスタイルに合わせて、避妊方法を提案します。避妊はすべて自費診療になります。

ピル

経口避妊薬のことをピルといいます。

合成された卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2つのホルモンが含まれています。

正しく飲めばほぼ100%避妊できます。ただ性感染症の予防はできません、ご注意下さい。

ピルによって何ができる?

最大の目的は避妊ですが、それ以外にもいろんな優れた効果があります

  • 生理周期をコントロールできます。
  • 生理周期はきちんと28日周期になります。毎月のスケジュールが立てやすく 「いつ生理がくるかわからず困る」といった悩みが解決します。
  • 生理痛がかなり緩和されます。
  • 生理の出血量がかなり少なくなります。
  • にきびや多毛が改善します。
  • 長期に服用すると、卵巣がん、子宮体がんのリスクが減ります。
  • 骨粗しょう症になりにくくなります。
  • 関節リウマチの予防になります。
  • 生理前のいらいら、頭痛、不安感、うつ症状といった月経前症候群(PMS)が緩和されます。
  • ピルはいつから飲めますか?

    月経が始まっていれば10代から内服できます。定期的に子宮がん、乳がん検査をうけていれば閉経まで何年でも続けることかできる言われていますが、45歳を過ぎると血栓のリスクがあがるため、当院ではピル処方は45歳前後までとします。ご本人と相談しながらよりリスクが少ない方法へのシフトを提案します。

    ピルはどうやって飲むの?

    1日1錠、毎日ほぼ決まった時間に飲みます。

    21錠タイプと28錠タイプがありますが、薬成分が入っているのはいずれも21日分のみです。28日タイプの最後の7日分は偽薬ですので、順番を間違えないようにご注意下さい。

    ●初めて飲む時には生理開始日1〜3日目から1日1錠ほぼ決まった時間に内服します。

    ピルはどんな副作用あるの?

    きちんと医師の診察受けて正しく服用場合には重症な副作用がおこることはあまりありません。

    その①

    ピルの重篤なリスクとしてまず静脈血栓塞栓症(VTE)が挙げられます。ただ10代〜40代の女性の血栓発症率は元々とっても低いため、ピル内服により上昇したとしても、その危険度は妊娠中より低いとも言われていますので、過度に心配をする必要もありません。血栓のリスクは使用開始後4ヶ月後以内に多く認められますので、安易に中止、再開を繰り返さないことを勧めます。また一旦中止をした場合にもなるべく3ヶ月以内に再開すると血栓のリスク上昇を下げられます。血栓のリスクは中止後3ヶ月以内には非服用者のレベルまで戻ると言われています。内服中に激しい腹痛、胸痛、呼吸困難、激しい頭痛 視野の障害、意識障害、ふくらはぎの痛み、熱感増加や皮膚の腫脹発赤等があればただちに内服を中止し、連絡下さい!

    その②

    子宮体がん、卵巣がん、発症率は下げますが、長期投与により子宮頸がんと乳がんのリスクはわずかに上昇するとのデータがでてますので、内服開始前にはこれらの検診をうけていただきます。重症な副作用としては、血栓症、心筋梗塞、脳卒中になるリスクが少し高くなると言われていますが、そのリスクは偏頭痛、高血圧、喫煙女性で上昇します。

    その③

    飲み始めの頃吐き気を感じる方が多いですが、1〜2ヶ月後にはなれる事が多いです。またピルの種類を変えると良くなる事もありますので、ご相談下さい。

    ピルを飲むと太ると思っている方が多いですが、体重増加は関与しない事は科学的に証明されています。

    どんな人はピルを飲めないの?

    参考文献:日本産科婦人科学会ガイドラインにより抜粋

  • 初経前、50歳以上または閉経後
  • 35歳以上で1日15本以上のタバコを吸う方
  • 重症の高血圧症、血管病変を伴う糖尿病
  • 血栓性素因をお持ちの方、血栓性静脈炎、肺血栓症、脳血管障害、冠動脈疾患にかかったことのある方
  • 妊娠または妊娠している可能性のある方
  • 産後4週以内の方、授乳中の方
  • 手術前4週、術後2週以内の方
  • 前兆を伴う偏頭痛のある方
  • 心臓弁膜症のある方
  • 抗りん脂質抗体症候群の方
  • 重症の肝疾患のある方
  • 耳硬化症のある方
  • 妊娠中に黄疸、持続性掻痒症または妊娠ヘルペス症状のあらわれたことのある方
  • 乳がんの方
  • 診断の確定していない異常性器出血の方
  • ピルを飲む前に行うべき検査は?

    - ピル服用前に行う検査

  • 問診(血圧・体重・既往歴・家族歴等)
  • 内診・超音波(子宮・卵巣の状態をみます)
  • 子宮がん検診
  • 血液検査
  • 乳房検査:触診と乳腺超音波を行います。
  • - ピル服用1ヶ月後に行う検査

    問診:嘔気嘔吐といったトラブルの確認の問診を行います。

    そこで継続の意向があれば最初は3ヶ月分の処方を行い、最長で6ヶ月分の処方ができます。その後は一年毎副作用チェックの採血と子宮頸がん検診、乳がん検診を行います。

    緊急避妊薬(EC)

    性交後72時間以内にレボノルゲストレル単剤1.5mgを一錠内服します。緊急避妊薬を服用しても妊娠する可能性はありますので、生理予定日7日を過ぎても生理が来ない場合には受診して下さい。緊急避妊薬はあくまで緊急時の一時対応と考えております。通常のピルでの確実な避妊をお薦めします。
    緊急避妊薬は性交後時間が経つに連れ効果が弱まりますのでなるべく早い時間に来院してください。受付終了後でも診察時間内であればなるべく対応します。

    子宮内避妊用具(IUD)

    当院ではレボノルゲストレル放出子宮内システム(LNG-IUS)(ミレーナ52mg)を使用します。ピルと同等の高い避妊効果があります。

    ピルと比べるとどっちが良いの?

    - メリット

  • 一回装着で5年間避妊効果が持続できるため、長期でみるとピルよりコストが低いです。
  • ピルのような飲み忘れによる妊娠の心配がありません。
  • 子宮頸がん、乳がんのリスクを上げる事なく、子宮体がんのリスクを下げる効果があります。
  • 内科の病気でピルを飲めない方でもIUDはほとんどの方に使えます。
  • - デメリット

  • 装着時疼痛特に経膣分娩歴のない方が疼痛が強い場合があります。
  • 子宮内感染、子宮穿孔のリスクがあります。
  • 自然脱落する事が稀にあります。
  • 大きな子宮腺筋症や子宮筋腫、子宮奇形等の疾患の時には正しい位置に装着する事が困難な事があります。
  • 装着したあとはどうするの?もう病院来なくてもいいの?

    IUD装着後は位置の確認、脱落や子宮穿孔の有無を確認するため、初回生理後、3ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後そして一年ごとの定期診察をお薦めします。