婦人科一般

婦人科には様々なご病気があります。きちんと診断、治療をすれば大事に至らず治せる病気が多いので、何かしら症状があれば早めに受診しましょう。

子宮筋腫

健康診断で子宮筋腫と言われたんですが、どうすればいいの?

まず子宮筋腫と言われても過度に心配する必要はないです。子宮筋腫は婦人科腫瘍でもっとも高頻度で、30歳以上の女性の20〜30%の方がもっています。

大きさ、症状、挙児希望有無等によって対応が変わってきます。定期的な経過観察が必要な場合もあれば、薬物療法や手術を受ける必要がある場合もあります。子宮筋腫の大きさによっては腹腔鏡手術が受けられる事もあれば、開腹手術になる可能性もありますので、子宮筋腫を指摘されたら、一人で悩まずまず受診して頂き、きちんと評価をしてもらいましょう。手術が必要であれば高次医療施設に紹介致します。

子宮筋腫のほとんどは成長がゆっくりで、良性の腫瘍ですが、稀に急激に大きくなる子宮肉腫という悪性のものもありますので、大きい子宮筋腫を初めて指摘されたら、早めに受診することをお薦めします。

卵巣のう腫

健康診断で卵巣が腫れていると言われたんですが、どうすれば良いの?

健康診断で卵巣が腫れていると言われた場合、その場で医師からすぐ大学病院に行って下さい、もしくは近所の婦人科で定期的に診てもらって下さいという違うパターンがあると思います。もしすぐ大学病院に行って下さいと言われたら、早めに大学病院のような総合病院を受診して下さい。卵巣がんの可能性があるからです。卵巣がんは進行がとっても早く、週単位で悪くなる事があります。

もし卵巣がちょっと腫れているけど、1〜2ヶ月後に婦人科クリニックに行って大きくなってないか確認して下さいと言われたら、そこまでの心配はないと思います。卵巣がんの心配があまりない卵巣の腫瘍に関してはMRIで性質を判断し、定期的経過観察、もくしは薬物治療を行います。MRI上悪性の可能性のある方や良性でも手術の必要がある方は大学病院に紹介します。

会陰のかゆみ

会陰のかゆみにはどんな原因があるの?

◇ 細菌性腟症
帯下が多く、灰色にあり、時に悪臭をする事もあります。膣のなかのばい菌を調べれば診断できます。抗生剤を膣内に入れて治療をします。

◆ 膣トリコモナス症
性行為により感染する事が多いです。症状は多量の泡状の悪臭の強い黄緑色の膿状帯下とそれに伴う外陰の搔痒感です。治療は抗生剤を1日2回10日間内服または膣内挿入を行います。

◇ 性器カンジダ症
カンジダ症は多くの女性が一生に一度は経験する頻度の高い疾患です。症状は外陰搔痒感と酒粕状、クリーム状帯下です。抗真菌薬を膣内に投与することで改善されます。

◆ 細菌性腟炎
症状は膿性帯下と膣の灼熱感です。淋菌、クラミジアと症状と似ているため、これらを除外する必要があります。抗菌薬を膣内に投与することで改善されます。

◇ 萎縮性膣炎
女性ホルモン分泌の減少が原因です。閉経後の方に多いですが、出産直後の方や女性ホルモンを抑える薬剤(低用量ピル等)使用中の方でもみられます。治療は女性ホルモンの入った内服薬、膣錠や抗菌薬を使う事で症状が改善されます。

不正出血

不正出血ってなに?受診したほうが良いの?

不正出血とは、月経時以外に腟から排出される出血のことです。不正出血がある時にはご自身で判断せず、必ず婦人科を受診し、診察を受けましょう。

閉経前の方の不正出血のほとんどはホルモンバランスによるものですが、子宮頸がん、子宮体がんといった子宮のがんの大事な症状である可能性もあります。検査してみないと危険な不正出血かどうかが安易には判断できませんので、必ず受診し、きちんと検査を受ける事をお薦めします。

閉経後の方の不正出血は逆にほとんどが子宮のがんの症状ですので、閉経後不正出血が続く場合には後回しにせず、早めに受診しましょう。子宮のがんは発見が早ければきちんと治せるものが多いですので、手遅れにならないように検査を受けましょう。

月経異常

女性は初潮から閉経までの長い間、様々な月経トラブルを抱えます。きちんと診断し、治療すれば月経に悩まされずもっと快適に過ごす事ができます。

◆ 月経不順

生理が不規則だけど、治療方法はないの?

正常な月経周期は25〜38日の間で、その変動は6日以内です。周期が39日以上3ヶ月以内なら希発月経、24日以内なら頻発月経と呼びます。

問診、超音波検査、採血で月経不順の原因を調べます。治療は原因によって違いますので、しっかり調べてからご自身にあった治療を提案します。

◆ 月経困難症

月経困難症はなに?

月経困難症は月経に随伴して起こる症状を言います。下腹痛 → 腰痛 → 腹部膨満感 → 嘔気 → 嘔吐 → イライラ → 下痢 → 憂うつの順に多く診られます。

生理痛が辛いけど、痛み止めを飲むしかないの?

生理痛の原因は大きく2つがあります。まず検査を行い子宮、卵巣に異常がないかを調べます。

その1:特に子宮卵巣に異常がないもの。痛み止め、低用量ピル、漢方等の治療を行えばかなり症状が緩和されます。

その2:子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症、子宮奇形といった子宮、卵巣の病気があるもの:基本的には病気に対する治療を行いますが、痛み止め、低用量ピル、漢方の治療でも症状が緩和されます。

◆ 月経前症候群

月経前症候群ってなに?

月経前症候群(PMS)は月経前3〜10日の間続く精神的あるいは身体的症状で月経とともによくなるものを言います。いらいら、のぼせ、下腹痛、腰痛、怒りっぽくなる、頭痛、乳房痛、落ち着きがない、憂うつの順に多いです。

治療方法はあるの?

治療は生活習慣改善や薬物療法があります。
比較的に症状が軽い場合には生活習慣を見直す事も有効であります。有酸素運動やリラックスした生活を送る事がなによりおすすめです。またカフェイン、アルコール、喫煙を制限したり、仕事や生活の責任を軽くする事も症状緩和には有効です。

これらの生活習慣を見直しても症状がよくならない時には是非受診をして下さい。漢方薬、低用量ピルといった薬物療法がありますので、一人で悩まず相談して下さい。

下腹部痛

下腹痛の原因はなに?診てもらうのは内科?それとも婦人科?

同じ下腹痛といっても原因は色々あります。便秘から癌まで原因は本当にいっぱいあります。女性の下腹痛で多くみられる原因は消化器の病気と婦人科の病気です。

下腹痛がある時に内科受診すべきか、婦人科受診すべきかは一概には言えませんが、目安としは下腹痛以外に下痢、嘔気嘔吐があれば内科、生理、性交渉と関係あれば婦人科といった分け方で良いと思います。実際内科診察で異常なければ、婦人科受診を勧められる事が多いですし、逆も良くあります。

ただ妊娠の可能性がある方は先に婦人科受診をおすすめします。

産婦人科の中にはどんな原因があるの?

産婦人科領域の腹痛とは子宮、卵管、卵巣などに由来する腹痛で、妊娠関連、感染症関連、腫瘍関連などの原因があげられます。

問診では妊娠・性生活や月経関連など話しにくい問診をされることもあると思いますが、診断の上にはとっても大事な情報ですので、正しい情報を診察医に伝えましょう。

妊娠の可能性があまりないと答えたのに、妊娠検査をさせられたのはなぜ?

妊娠は思いよらない時期にやってくる事が良くあります。ご自身は妊娠はありえないとおもっても実際検査したら妊娠していたとの事も実際の臨床で良くありました。

産婦人科が常に妊娠の事を気にしているのは妊娠関連性のご病気を見逃さないため、妊娠した女性に必要以上の検査、治療をしないためです。産婦人科医は女性の下腹痛を診る時に真っ先に子宮外妊娠という病気を考えます。診断が遅れると命を落とす可能性すらある病気だからです。

また妊娠有無によってその後の検査、治療も妊娠に配慮しないといけませんので、下腹痛で受診した方には問診の上、まず妊娠テストをする事がありますので、ご了承下さい。

更年期症状

更年期っていつをいうの?

更年期は女性の加齢に伴う生殖期から非生殖期への移行期であり、我が国では閉経の前後5年の合計10年間とされています。日本人女性の平均閉経年齢は50歳ぐらいと言われていますが、個人差も大きいです。

どんな症状があるの?

顔のほてり、のぼせ(ホットフラッシュ)、発汗、疲労感、めまい、動悸、頭痛、肩こり、腰痛、関節痛、足腰の冷え、不眠、イライラ、不安感、うつ気分等があります。

自分が更年期障害かどうかは分かるの?

更年期障害の診断には明確な診断基準がないのが現状です。更年期の女性が上で話ししたような症状があって受診したらまずは似ている症状のあるご病気を除外します。その上問診と女性ホルモンを調べる採血を総合的に考慮し臨床的に更年期障害を診断します。

どんな治療方法があるの?

まずは食と運動を中心とする生活習慣の改善が症状改善につながる事がありますので、やってみましょう!これらは更年期障害だけではなく今後心臓のご病気のリスク、骨粗鬆症の予防にも有効です。

薬物療法としては漢方、ホルモン補充療法(HRT)等があり、症状と基礎疾患などによって個々に相談し、ご自身にあった治療方法を提案します。

ホルモン補充療法(HRT)に関しては乳がん、子宮体がんのリスクが上がる心配があるとの事で投与を躊躇する方が多いですが、きちんと検査し正しく投与することが大事だと考えます。HRTはホットフラッシュの症状には有効性が非常に高い治療方法です。

更年期症状でお困りの方は一人で悩まず、気軽に受診して下さい。

子宮頸がん検診で異常を指摘された方へ

子宮頸がん検診で異常と言われたらどうすれば良いの?

現在子宮頸がん判定はほとんどベゼスタ分類で行われます。
NILM以外の判定が出ると検診結果は異常ですので、精密検査を受ける必要があります。
検診では細胞レベルで異常を指摘しますが、がんや異形成の診断は組織レベルになります。

少し難しい話に聞こえると思いますが、子宮頸がん検診で異常と言われた方は、組織生検をする必要があります。
組織を取るためには悪いと思われる場所を決めないといけないです。その場所を決めるためにやる検査が子宮膣部拡大鏡診(コルポスコピー)です。
組織診の結果によって今後の方針を相談します。
検診結果は必ずお持ちください。検診結果がないと精査に進められないので受け付けできません。

受診後の流れ

①より正確な診断のため、検査結果をお持ちの方でも当院で子宮頸がん検査(保険適応)を再度行うことがあります。
②組織診検査の合併症・リスク等説明を行い検査同意書をお渡ししております。
③コルポ精査は出血リスクのある検査のため、翌日が休診日の場合は遅い時間帯での検査が不可となっております。
■ 終日検査可能な曜日
・月曜日・火曜日・金曜日

■ 上記曜日に受診が難しい方に限り
・水曜日 10時までの受付
・土曜日 9時までの受付
で検査が可能です。
※月経中はできません。

コルポスコピー検査は痛いの?どうやってやるの?

まず子宮の頸部に酢酸をつけます。
酢酸をつける事によって、病変疑いのある部位がより鮮明に見え、正しい場所を生検する事ができます。
その後拡大鏡で評価をし、病変があると疑われる部位を確認した上で子宮頸部から米粒の半分ほどの組織を数箇所採集します。

局所のスプレー麻酔薬を使いますが、人によっては痛みを強く感じる事があります。
数箇所を生検することによって検査の精度も上がりますので、1〜3箇所で生検を行う事が多いです。
生検した場所から出血がでますので、ガーゼを膣内に入れて、止血します。ガーゼは翌日にご自身で取ります。

検査時の注意事項は?

月経中は検査ができませんので、その期間を避けてご予約ください。
血を固まりにくくする薬(ワーファリン、バファリン、バイアスピリンなど)をお飲みの方は検査のときに出血が止まりにくい場合があるため、当院では原則検査はできません。

検査した日は入浴は避けて、シャワーだけにして下さい。
出血が数日続く事がありますが、量が多くなければ、様子みても問題ありません。

生理2日目を超える出血が続く場合には連絡して下さい。
刺激により再出血を生じることがありますので、検査後一週間は性交渉をお控えください。

痛い検査は今後ずっとやるの?

診断のための生検は毎回はやりません。
一回診断つけて経過観察で良いことになったら、その後は3〜6ヶ月毎細胞診の検査(頸がん検診と同じ検査です)とコルポスコープで観察するだけですので、ほとんど痛みはありません。
経過観察し、細胞診異常が2〜3回連続指摘できなくなったら、治癒したと判定し、通常の検診で問題ありません。

ただもっと悪い結果が出たりするとまた診断のために生検を行う事があります。
コルポスコピー検査は多少は痛い検査ですが、頸がん、頸部異形成の診断ためには必要不可欠な検査になります。
当院では少しでもリラックスした状態で検査を受けられるように、操作時には常に声をかけながら進めていきます。

コルポスコピー検査は専門検査になるため、大学病院や総合病院に行くと女医指定が難しい事が多いです。
当院では常に女性専門医による検査になりますので、安心して通って頂けます。